漁業の問題と解決に向けて

Fishery   problem   

 漁業においては、海洋のことですので、世界レベルで考える必要性があります。その中で、島国である日本においては、海の生き物は大切な水産資源です。しかし、多くの問題がその海や魚、その他の生き物に影響を及ぼし、環境破壊につながる漁業を繰り返していくと魚の数は減少していきます。

●地球温暖化

 地球温暖化の影響で海水温が上昇、魚の生育に欠かせない植物性プランクトンが2010年時点で1950年に比べ、40%減少。さらに温暖化が進むと海の生態系の崩壊を招いて、食物連鎖が崩れていきます。

●養殖業の問題

 世界の水産物の漁獲量は過去50年で2倍以上に増えて、海で獲れる数が減り、養殖業に頼っているのが現状です。

・養殖魚のエサ・・・1キロあたりの魚を養殖するのに、6~7キロのエサ魚の乱獲を引き起こす

・養殖場所・・・・・干潟やマングローブなどの沿岸の自然破壊

・大量生産・・・・・抗生物質やワクチン、消毒剤→赤潮、青潮の発生要因、土地、河川、海の環境破壊

●混獲の問題

 混獲とは・・・目的以外の生物が網や針などの漁具に絡まって命を落とすことです。

 ・混獲の被害・・・・・・・・捕獲されている生き物の約40%

 ・混獲されている生き物・・・魚のほかに、ウミガメ、海鳥、イルカ、クジラ

*「フカヒレ」・・・サメのヒレの部分を切り取って、生きたまま身を捨ててしまう残酷な例(日本、米国、EUなど、約100か国は禁止)

●ゴーストフィッシングの問題

 ゴーストフィッシングとは・・・なんらかの理由で放置された網や糸などの漁具に野生生物が絡まる状態です。

 ・放置理由

  ①海洋廃棄物処理費用節約

  ②漁中の洗浄スペース確保

  ③燃料節約

  ④マグロを引き寄せるための故意

  ⑤不慮事故

*現代の漁具は、プラスチック製で、海中に放置された漁具は、長い間ゴーストフィッシングの原因だけでなく、マイクロプラスチックとなって海洋汚染となります。

●IUU漁業の問題

 IUU漁業とは・・・獲ってもいい魚の量や時期、使ってもいい漁具などの世界のルールを守らない、違法・無報告・無規制の漁業です。

 ・IUU漁業:世界の漁獲量の13~31%を占めている。日本単独輸入水産全体の24~34%。

解決に向けて必要なこと

 ・資源管理

 ・生態系保全のために漁業禁止区域や「海洋保護区」(MPA)の拡大

世界では、実際に導入した結果、違法漁業が減少して、魚の数が復活しているところもあります。日本では「海洋保護区」(MPA)と命名された水域を指定する制度はないが、海洋生物の生息地を保全するために、さまざまな規制で日本の沿岸域を保護、管理されている。

<解決に効果が期待できる資材や装置>

・分子分解装置・・・・処分に困る古いプラスチック製の漁具の処理

当財団では漁業の現状を伝え、資源管理や保護を進めていく活動を行う。

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